インフルエンザは毎年流行する感染症で、多くの方は自然に回復しますが、高齢者や基礎疾患のある方では、肺炎や呼吸不全などにより入院・重症化することがあります。
インフルエンザワクチンは、感染を完全に防ぐものではありませんが、発症や入院、重症化を減らす効果があります。効果はその年の流行株や年齢などによって変わります。
2026年に発表された最新のシステマティックレビュー(複数の研究結果をまとめて評価した研究)を紹介します。
この論文では、高齢者においてインフルエンザワクチンにより、
インフルエンザによる入院:約19~43%減少
インフルエンザによる死亡:約29~66%減少
することが複数の研究で報告されています(1)。
ワクチンの効果にはシーズンによる幅がありますが、特に高齢者では、「感染を完全に防ぐこと」よりも「重症化を防ぐこと」がワクチン接種の重要な目的です。
接種した部分の痛み・赤み・腫れや、発熱、だるさなどがみられることがありますが、多くは一時的です。
2026年の大規模なレビュー論文でも、季節性インフルエンザワクチンについて新たな重大な安全性上の問題は確認されていません。
インフルエンザウイルスは少しずつ変化するため、ワクチンの内容も毎年見直されています。
2026/27シーズンについても、世界の流行状況をもとにWHOが使用するワクチン株を選定しています(2)。
65歳以上の方、呼吸器疾患・心疾患・糖尿病などの基礎疾患がある方には、特に接種をおすすめします。
高用量インフルエンザワクチンについて
2026年度から高齢者向けの高用量ワクチンの使用が予定されていましたが、製造・供給上の事情により、今年度の定期接種への導入は見送られました。当院では、従来型の不活化インフルエンザワクチンを使用します。
Senerth E, et al. Influenza Vaccine Effectiveness and Safety for the 2026-2027 Respiratory Season. JAMA. 2026. doi:10.1001/jama.2026.18126.
World Health Organization. Recommended composition of influenza virus vaccines for use in the 2026-2027 northern hemisphere influenza season. 2026.
監修・執筆:井手昇太郎 医師
日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医/日本感染症学会認定 感染症専門医
※掲載内容は2026年9月時点の情報に基づいています。