日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会は、高齢者に対して、2026年度の新型コロナワクチン定期接種を強く推奨する見解を公表しました(1)。
新型コロナウイルス感染症は、以前と比べて大きな流行は少なくなっていますが、現在も夏と冬を中心に流行を繰り返しています。特に高齢者では、入院や重症化、死亡につながることがあります。
実際に、2025年の国内における65歳以上の死亡者数は、新型コロナが21,003人、インフルエンザが6,333人で、新型コロナによる死亡者数はインフルエンザの約3.3倍でした。新型コロナによる死亡者の98%を65歳以上が占めています。
国内の研究では、2024年秋の新型コロナワクチンについて、接種しなかった場合と比べて、
65歳以上の発症を約44%減少
60歳以上の入院を約62%減少
させる効果が報告されています(2)。
さらに海外の2025/26シーズンの研究でも、65歳以上で入院を約61%、死亡を約70%減少させる効果が報告されています。
ワクチンを接種しても感染することはありますが、特に高齢者では、入院や重症化、死亡を防ぐことが重要な目的となります。
また、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる「コロナ後遺症」)に対しても、ワクチン接種により発症リスクが低下することが報告されています。
接種後には、注射した部分の痛み、発熱、だるさ、頭痛、筋肉痛などがみられることがあります。多くは一時的なものです。
副反応の頻度はワクチンの種類によって異なります。たとえば研究では、発熱が数%から数十%程度報告されています。
一方、国内外の疫学研究では、新型コロナワクチン接種によって全体として死亡リスクが増加することは確認されていません。
ただし、ワクチンのリスクがゼロというわけではなく、ごくまれに重い健康被害が生じる可能性があります。
2026年度は、現在の流行株に合わせた新しいワクチンが使用される予定です。
65歳以上の方など定期接種の対象となる方は、今冬から来夏の流行に備えて接種をご検討ください。
過去に新型コロナに感染したことがある方も接種できます。インフルエンザワクチンとの同時接種も可能です。
接種についてご不明な点や心配な点がある方は、診察時にご相談ください。
執筆・監修:井手昇太郎 医師
日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医/日本感染症学会認定 感染症専門医
※掲載内容は2026年9月時点の情報に基づいています。
参考文献・出典
日本感染症学会・日本呼吸器学会・日本ワクチン学会「2026年度の新型コロナワクチン定期接種に関する見解」
掲載ページ
Maeda H, et al. Effectiveness of JN.1-adapted COVID-19 vaccine against medically attended SARS-CoV-2 infection and COVID-19 hospitalization in adults in Japan, from October 2024 to April 2025: VERSUS. Vaccine. 2026;80:128544.